数字の原則をタロットリーディングで活用する
前々回、前回の数秘術による原則を、実際のリーディングに適用してみましょう。これは複数枚の展開において、カード同士の関係を読み解くガイドになってくれます。
実際には、スートなど他の要素、また絵からの情報も考慮しますが、今回は数字同士の関係にのみ焦点を当てていきます。各数字の意味は記載しないので以前のnote記事を参照、あるいはあなたの馴染んだ数字の意味のセットを使うこともできます。
連続する数字
連続する数字が並んでいる場合、「数字は前進的である」の原則から、なんらかのシーケンスの進行具合を読み解くことができます。これにはいくつかのパターンがあり、それぞれについて考えていきましょう。
連続する数字の考え方は、スプレッド内の時間経過を示すポジション(過去・現在・未来・最終結果、など)に出てくるとき特に有効です。
・前進する数字
3・4・5、のように、連続する数字が前に進んでいる。これはなんらかのシーケンスが前進していると示します。未来志向、スムーズな進行、前向きな姿勢、などのエネルギーの動きです。
・後退する数字
逆に、5・4・3のように、大きい数字から小さい数字へ逆行するとき。これはシーケンスが後戻りしている、一歩ずつ戻る、過去へ立ち返る、といったエネルギーの動きを示します。
・行きつ戻りつする数字
3・5・4のように、数字は連続するが順番がバラバラのとき。これはシーケンスの行きつ戻りつ、紆余曲折や試行錯誤を示す可能性があります。
・欠損する数字
連続する数列だけれど、どれか一つだけ数が抜けているときは、その抜けた数の不在についても意識します。例えば3・4・6・7という四枚には、5だけが抜けています。5的なエネルギーが欠損したり、避けられたり、無視されている、あるいは忘れられている。それは一体どのような状況かを考えます。
連続する数字についての注意点は、安易に「スムーズな前進だから良い。後退、紆余曲折、欠損だから悪い」と読み取らないことです。良し悪しはケースバイケース、この手法はどんな方向にエネルギーが進んでいるのかを確認できるだけです。
同じ数字の重複
3・3や、4・4・4など、同じ数のカードが複数枚ある場合、その数字のエネルギーが特に強調されます。古いタロットやトランプ占いの解説書には、同じ数字が出た枚数によって特定の意味やキーワードを与えるものもあります。しかしそれを覚えるのも大変ですから、「その数字のエネルギーの働き方がさらに強まる」と考えればよいでしょう。
偶奇数の偏り
「奇数は能動的、偶数は受動的」の原則により、スプレッド内のカードが奇数・偶数のどちらかに偏っている場合、状況全体が受容的か、能動的かを判断できます。
例えば相性判断のリーディングで、どのカードも偶数だったとします。これは関係者全員が受動的で動きが少ない、お互い相手の出方次第で変化しやすい、様子見をしている、などと読めます。
数字の大小の偏り
「大きい数字ほど成熟している」の原則により、小さい数(1、2、3など)、あるいは大きい数(小アルカナなら8、9、10など)の偏りがあれば、状況全体がはじまりのエネルギーに満ちているか、成熟して終わりのプロセスに近いのかを判断できます。
2桁の数字の偏り
2桁の数字が多いとき。2桁の数の複雑さが状況にも現れてくるでしょう。2桁のカードは「10(あるいは20)というステージの上で働く」ものでした。10や20でまとめられたものが、環境、組織、社会、一定の期間などの何を示すかを考えます。
基本的には、個人的なスケールを超えた要素が多い状況、と考えるとよいでしょう。
数字の相性
「ある数字は、一つ前の数字を否定する」「二つ前の数字を助ける」の原則により、カード同士の相性を見ることができます。
例えば相性判断で、Aさんを示すカードが4、Bさんを示すカードが5だった場合。5は一つ前の数字である4を否定します。BさんにとってはAさんのやり方は古いもの、否定すべきもの、もう通用しないものと見えており、AさんからするとBさんに否定されているように感じる、と読めます。
ここにもう一人、6のカードで表されたCさんがいるとします。6のCさんは4のAさんを助け、5のBさんを否定します。CさんはAさんの味方になり、Bさんの否定的態度を抑えてくれる人物、と考えられます。
「大きい数字ほど成熟している」の原則も考慮すれば、この三人の中では一番大きい6のCさんが、他の二人より成熟した大人のエネルギーを持っている、と読み取れます。
また「奇数は能動的、偶数は受動的」の原則から、奇数の人が主体的に行動し、偶数の人がそれを受け止める側である、とも読めます。この三人だと、奇数5のBさんが最も自主的に行動し、偶数4のAさんはそれを否定的なものとして受け止めるしかなく、偶数6のCさんもBさんの行動を受け止めるけれども、より成熟した立場からそれを抑制する、という関係性になります。
同じ数字が重複しているケースも関係性に当てはめられます。例えばAさんが4、BさんとCさんが二人とも5の場合。二枚ある5のエネルギーが強調されてこちらが多数派、4のAさんは少数派で、しかも他の二人に否定されていると考えられます。
人間同士を示すカードでない場合も、こうした数字の相性を考慮できます。例えば、「過去」のポジションに3、「現在」に4、「アドバイス」に4が出たとき。アドバイス4は過去3を否定しているため、過去においてはこのアドバイスの実行は難しかったでしょう。しかし現在は4になったため、今ならアドバイス4を実行することも難しくないはず…のように。
逆位置による関係の変化
逆位置が入ってくると、数字の関係も変化します。逆位置のカードは「他のカードの影響で逆さにされた可能性もある」と考えてみましょう。すべてのケースで当てはまるとは限りませんが、この視点で見ると関係性を深く考察できます。
例えば5・6は、本来なら6が5を否定する立場です。しかし6が逆位置なら、それは5による影響かもしれない、と考えます。5が6へ進むことを拒否し、6を逆位置化している可能性です。この場合、6による5の否定はなく、5の力が勝っています。5による6への反逆、6による5への遠慮、6へ進む前に5としてやらなければならないことがある、などがイメージできます。
さらにここに4の逆位置もあった場合は、より5の力が強調されます。5は4も6も否定して5であろうとしています。奇数性による偶数性の拒否も感じられます。
また、連続する数字の一部だけが逆位置だったときも、それを考慮できます。例えば、3正・4正・5逆は、5への進行にブレーキをかける4がいるのかもしれません。8正・9逆・10正のように、真ん中の数字だけ逆位置なら、9の段階を数字の欠損と同じように見たり、偶数の8や10によって奇数9が逆位置化している可能性も。
2桁の数字の「表面的な関係」と「潜在的な関係」
2桁の数字にも、ここまでの考え方を当てはめて読み解きができます。しかし、やや複雑になりますが、1桁に還元した数字から他の数との関係も考察可能です。
二通りの還元方法があったことを思い出しましょう。「各桁を別々に扱う方法(表面的に働く)」と、「各桁を加算する方法(潜在的に働く)」です。2桁の数字のカードからは、「表面的な関係」と「潜在的な関係」の二面性を読み取れます。
いくつか例をあげて考えていきます。
・例1)15と5の関係
15と5は悪魔と教皇の関係です。まず、そのままの数字を見てみましょう。両方とも奇数なのでどちらも能動的な働きをし、互いに相手に対しての受容性は少ない。15の方が大きく、より成熟。2桁の15は複雑、1桁の5はよりシンプルで純粋なエネルギーの働き方をします。
15を1桁に還元していきましょう。まず、各桁を別々に扱う方法(表面的)で考えると、15は「10の上で働く5」です。教皇5と5の重複となり、5のエネルギーが強調されます。この還元方法は表面的に働くエネルギーを示すので、5の強調は傍目からもわかりやすく現れるでしょう。そして、教皇5は悪魔15のように「10の上で働く」訳ではないため、環境などに縛られているか、いないかの差があります。
次に各桁を加算する方法(潜在的)で考えます。15は「1+5=6」で偶数、受容的なエネルギーを持ちます。これは潜在的な受容性ですが、表面的には能動性があるため、「外向きに活動した結果として密かに6の受容性を発揮する」あるいは「水面下で周囲に6の受容性を押し付ける」形になります。悪魔15は教皇5と対峙したとき、潜在的には6として教皇5を受容しつつ否定するか、あるいは教皇5に「お前は6になれ」と押し付けるのです。
教皇5は潜在的6になった悪魔を否定し、また5は奇数で受容的ではないため、「6になれ」と押し付けられることにも抵抗します。そして6は一つ前の5を否定するため、悪魔15は教皇5に対して「6になって、5の自分自身を否定せよ」と言っているのです(悪魔は、潜在的6として表面的5の自分自身を否定してもいます。15は自己否定をも孕んでいると言えます)。
この押し付けや否定、抵抗は潜在的に起きており、表面的には二者は5のエネルギーを強調しあっても、水面下では教皇に対してゴチャゴチャした働きかけがあります。しかし10という環境の制限下にある悪魔と違い、教皇は環境に縛られず、よりシンプルで純粋なエネルギーです。
・例2)12と19の関係
2桁同士の関係を考えてみましょう。12吊られた男と19太陽は、そのままの数字では偶数と奇数。19が働きかけ、12が受け止めます。19の方が大きくより成熟。どちらも2桁なので10の上で働いているのは共通。
それぞれを1桁に還元します。各桁を別々に扱う方法(表面的)では、12は「10の上で働く2」、19は「10の上で働く9」です。この場合、偶数奇数の関係も、大小の関係も元の数字と変わりません。
各桁を加算する方法(潜在的)では、12は「1+2=3」、19は「1+9=10、1+0=1」で、3と1になります。どちらも奇数、潜在的には能動的な働きです。12は表面的な内向性によって自分の内面に3的能動性を発揮し、19は表面的な外向性によって周囲に向けて1になるか、もしくは周囲に1を植え付けます。19は、12に対して「1になれよ」と働きかけるのです。12は偶数なので、この働きかけを受容します。しかし潜在的3としては、奇数同士なので受容しにくいという葛藤もあり、また12の表面的2は19の潜在的1を否定もしています。とはいえ1は3にとって二つ小さく自分が助ける相手でもあり、数字の大小も逆転し、3は1より成熟した兄貴分となるため、1を外的には否定しても、内的には1をサポートしていますし、押し付けられた1になることも余裕です。
2桁の数字を1桁に還元して関係を考える方法は、このように複雑になるため、無理して活用する必要はありません。でもこの考え方に馴染むと、数字同士の関係をより深く読み解けます。
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