タロットを数秘術で考えていく、前回の続きです。今回は2桁の数字と、0の扱いについて。
2桁の数字の考え方
2桁の数字は、まず1桁に還元して考えます。還元方法は二つあります。
各桁を別々に扱う方法(十進法)
各桁を加算する方法(九進法)
2桁の数字のカードの特徴は、これらの結果の両方を組み合わせて考えます。
各桁を別々に扱う方法(十進法)
1桁目の数字が、10(あるいは20)というステージの上で働いている、と考えます。
例えば12なら10+2となり、「10というステージの上で働く2」です。10は「まとめる力」、2は「受け止める力」なので、なにかをまとめたもの(環境、組織、社会、一定の期間など)があって、その上で受け止める力が働きます。環境があって、その上で何かを受け止める、というエネルギーの働きです。
20の場合は、10が2つある、二つのまとめられたものが出会っている(受け止め合っている)、と考えます。
各桁を加算する方法(九進法)
一桁目の数字と二桁目の数字を足し算し、答えが一桁になるまで繰り返します。元の二桁の数字は、加算結果の一桁の数字と同じ特徴を持ちます。
例えば12なら、1+2=3と計算し、3が還元された一桁の数字となります。3は「発展させる力」でした。12は3と同じ発展させる力を持っている、と示します。
この計算方法は数秘術の性格判断などでもよく使われるので、馴染みがあるかもしれません。
二つの還元方法は組み合わせて考える
12は10のステージの上で働く2であると同時に、3の特徴も持っています。まとめられた環境10の上で働く「受け止める力」2でありながら、同時に「発展させる力」3としても働いているのです。
「2であると同時に3である」とは、一体どういうことなのでしょうか?
これは、前回紹介した原則も含めて考えていくと理解しやすくなります。
2と3は偶数と奇数なので、それぞれに「奇数は能動的、偶数は受動的」の原則が適用されます。さらに、2は3の一つ前の数字であるため、「ある数字は一つ前の数字を否定する」の原則も適用されます。順を追って見ていきましょう。
「奇数は能動的、偶数は受動的」の原則と組み合わせる
12や2は偶数なので、受動的な数字です。しかし加算結果3の特徴もあるため、奇数の能動性も持つことになります。12には受動性と能動性とが混在します。例外もありますが、2桁の数字は受動性と能動性が同居した複雑な働きをするものが多くなります(2桁の数字は複雑な性格なのです!)。
この奇数性/偶数性の混在は、優先順位を立てるとどのように働いているかわかりやすくなります。表面的に働く方と、潜在的に働く方と考えます。
まず元の数字の1の位の奇数性/偶数性が表面的に働く
そしてそれが働く方向(奇数なら外向/偶数なら内向)に向けて、各桁を加算した数字の奇数性/偶数性が潜在的に働く
12であれば、1の位の数字2は偶数なので、表面的には受動性が働きます。見た目上、12は「受け身」の数字です。
これを受けて、加算結果3の能動性は内向きに働きます。つまり潜在的には、「外側ではなく、内側に向けて能動性を発揮する」のです。
12は吊られた男のカードです。これは逆さ吊りに縛られた人物であり、表面上は自分から外に向けてなにかを働きかけることはできず、状況を甘んじて「受け止める」だけです(偶数2の受動性)。しかし、内面に向かっては3の能動的な「発展させる力」が働きます。この人物は、環境の上で状況を受け入れつつ、内的にはさまざまな精神的発見を次々と生み出している、と解釈できます。
逆パターンの例も。15は奇数なので、表面的には能動性が働きます。加算結果は1+5=6で偶数、この受動性は15の奇数性のため外向きに働きます。15は自分から外へ働きかけますが、それは6の受動性を働かせるため、なにかを受け取るための積極性・外向性である、と考えられます。これは10の上、まとまった環境、組織、社会、一定の期間の上で働く5であり、その働きかけた先で潜在的に6の受動性が発揮されるのです。
「ある数字は、一つ前の数字を否定する」の原則と組み合わせる
12には2と3が同居しています。3は一つ前の数字である2を否定します。12の中でこれらは同時に働きますが、ただ状況に甘んじる2を、内的な発展をする3が否定しています。つまり、彼はこの状況をただ受け止めることを乗り越え、内的にはさらに次の数字へ前進している、と言えます。
20以降の数字では、この奇数性/偶数性の同居パターンは変わってきます。でも考え方は一緒です。
0について
1〜10は説明したのに、0については忘れていました。
1〜10にはエネルギーの働き方に目的がありました。1なら「はじめる」、4なら「安定させる」といったように。しかし0にはそうした働き方の目的はありません。エネルギーが働かない訳ではありませんが、なんの意図もなく働く(あるいは働かない)のです。
0は無と考えることもできますが、無目的と言った方が近いようにも感じます。0はどの数字になることもできるけれど、どの数字にもならない、とも言えます。
この0の特徴を考慮し、2桁の数字の原則から10という数字を考えることもできます。10は10+0、「10というステージの上で働く0」であり、同時に1+0=1、1の特徴も併せ持つ数です。
ちなみに、数学的に言えば0は偶数、原則に従えば受動的な数字となります(が、これも「能動性にも受動性にもなりうる」という考え方を採用する手もあります)。また、0は1の一つ前の数字なので、1に否定され、2に助けられます。大アルカナ全体を循環構造と捉える場合、21の次には0に戻るため、0は21を否定し、20を助けます。
数字の原則からカードを考える利点
タロットカードを解釈するとき、絵から考えたり感じたりする方法があります。しかし、デッキによって絵は変わりますし、絵から感じるものもそのときどきで変わってくるかもしれません。リーダーが数字などの原則からもカードを解釈できれば、ある程度安定したリーディングを行うことができます。
絵から読み解く方法と、数字などの原則から読み解く方法、両方が大切なのです。原則による安定感を持った上で、絵から受け取る自由な解釈を羽ばたかせれば、より深く、落ち着いたリーディングができるようになるでしょう。
今回の記事では原則的な部分だけを紹介したので、「これをどうやって各カードの解釈に当てはめればいいの?」という方もいらっしゃるかもしれません。また機会があれば書きたいと思いますが、読者の方も自分なりにこの原則に照らして各カードを考えいくと、必ずリーディングの力になるはずです。
10/2追記:この記事の続き
参考文献
松村潔「数の原理で読むタロットカード」「合本 タロットリーディング〜78枚のタロットの世界に入り、魂を自由にさせる奇蹟〜」「タロットの神秘と解釈」、ジョン・キング「数秘術 数の神秘と魅惑」
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読み進めるスピードはかなりゆっくりです。アクティブイマジネーションで「カードの中に入る」ワークを毎回やっているので、半分そっちもメインになってきています。
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