こんにちは、TAZNです。今回はイエスかノーかで質問に答えてくれるタロットの技法を紹介していきます。
バーバラ・ムーアさんの2021年のスプレッド集1では、イエスかノーかで答えを出すタロットの技法がたくさん紹介されています。それにインスパイアされ、今回はTAZNも手持ちの情報でイエス/ノーの技法をまとめてみることにしました。
ムーアさんによれば、古典的なイエス/ノースプレッドはたくさんありますが、現代のものはそれほど多くないそうです。ここ30年ほどはタロットリーダーの間で、「絶対の未来はなく、どんな質問にもイエスかノーかを言うことはできない」という信念が共有されていたためです。しかし、イエスかノーかの明確な答えは実用的で力強く、今後の計画を立てるためにも役立ちます。こうした考え方が浸透してきたため、イエス/ノーのリーディングが再び注目されてきたとムーアさんは言います。
モダンな占星術が心理学と結びついて心理占星術となり、単なる吉凶占いを避けるようになったあと、揺り戻しで古典占星術が復活してきましたが、同じような流れがタロットにも起きているのかもしれません。
イエス/ノーの質問の注意点
これからいくつかの技法を紹介していきますが、どれを採用するにしても注意すべき点があります。
イエス/ノーで答えを出す質問は、選択肢を限定してしまう可能性があります。まだ質問者が考えてもいない選択肢が他にもたくさんあることを忘れないようにしましょう。イエス/ノーで満足な答えが得られる質問はわずかであり、当然ながら他の技法を使った方がよい場合もあります。
質問の立て方に注意を払うこと。
答えがはっきりしている分、質問もはっきり立てなければなりません。「AさんとBさん、どちらと付き合うべき?」などはイエス/ノーで答えられず、これらの技法にとっては曖昧すぎます。この場合は質問を分け、「Aさんと付き合うべき?」「Bさんと付き合うべき?」と2回行うか、イエス/ノーではない他の技法を検討しましょう。
時間的な期限を設定しましょう。例えば「6月に新宿区へ引っ越すことは、私のためになりますか?」など。時間設定がないと、リーディング結果がいつまで有効なのかわからなくなります。
質問者にとってポジティブな選択肢を「イエス」にする質問を立てましょう。例えばアイスを食べたいなら、「アイスを食べない方がよい?」ではなく「アイスを食べた方がよい?」が適切です。自分にとって喜ばしい結果がノーになる質問にすると、カードを解釈しにくくなる場合があります。
カードを引く前に、質問を書きだしておきましょう。その質問が本当にイエスかノーかで答えられるか、あらかじめチェックできます。また、カードを引いた後も質問に立ち返って解釈ができます(自分の立てた質問が具体的になんだったのか、曖昧になってしまうことはよくあります)。
リーディングのあと、自分の行動や考え方、状況になんらかの変更があれば、カードの結果は変わる可能性があると忘れないこと。
逆位置を判定に使う技法では、カードの正/逆がはっきりわかるデッキを使いましょう。
結果が「どちらでもない」の場合
いくつかの技法では、イエス/ノー以外に「どちらでもない」が登場する場合があります。そうなる理由にはいくつか考え方があります。
この質問に対する結果は、まだ不確定である
質問者にとって最善の策は、今の段階ではこの回答からは得られない
質問の仕方が不適切、または明確に述べられていない2
シャッフルやカットをしている間に質問に集中できなくなった
答えを知りたい気持ちが強くない
真実よりも自分の欲しいものを求めてしまう
テーマに関連した未決定の要素がある3
いろいろなイエス/ノーの技法
引用元は註釈で文末にまとめています。
●ワンカード
サーシャ・グラハム他著「TAROT EXPERIENCE」4では、1枚のカードを引き、イエス/ノーを決めるための基準をいくつか紹介しています。
正位置=イエス/逆位置=ノー
偶数のカード=イエス/奇数のカード=ノー
大アルカナ=イエス/小アルカナ=ノー(この場合イエスは少なくなる)
直感的に見て、ポジティブなカード=イエス(魔術師、太陽、世界など)/ネガティブなカード=ノー(死、悪魔、塔など)
カードを引く前に、これらの判断基準のうちどれを使うのか決めておきましょう! 正位置/逆位置でイエスかノーかを決める方法が一般的ですね。
しかし著者は、単純にイエスかノーかだけを決めるならコイントスや花占いでも構わない、タロットの雄弁さを無視することにもなる、と言います。
ベネベル・ウェンは、こうした単純化しすぎた方法にのみ頼るのは注意すべきで、質問やその言い回し、なんのカードが出たかによって、全体的に見ていく視点が必要だと指摘します。引かれたワンカードによって、その状況で優位に作用している力やエネルギーを見極めることもできます。5
●シグニフィケイターを探す方法
質問者を示すシグニフィケイター・カードを選びます。シグニフィケイターを含めたすべてのカードをシャッフルし、二つの山に分けます。一つの山はイエス、もう一つの山はノー。シグニフィケイターが発見された山が答えです。6
●大アルカナが出るまでカードを数える方法
カードをシャッフルし、1枚ずつ引いていきます。大アルカナが出た時点で引くのを終了し、そこまでのカード枚数を数えます。大アルカナが何枚目だったかによって答えを判断。カウントしたカード枚数が偶数=イエス/奇数=ノー、となります。7
●シビラカードのイエス/ノー
これと似た技法で、今度は大アルカナではなく、シグニフィケイターが出るまでのカードを数える方法。
シグニフィケイターを選び、それを含めたすべてのカードをシャッフルします。上から一枚ずつ引き、シグニフィケイターが偶数枚目に登場すればイエス、奇数枚目であればノー。
また、シグニフィケイターの前の3枚を過去、後の3枚を未来として読むことも可能です。その中に、カウントした数字と同じナンバーを持つカードがあれば重要視します。8
大アルカナが22枚あるのに対し、シグニフィケイターは一枚でなかなか登場しないため、さっきのやり方の方が手っ取り早く終わるかもしれません。これはシビラカードの技法として教えてもらいましたが、タロットでも使えるよう少しアレンジして紹介しました。
●イエス/ノー・エース・スプレッド
小アルカナのみを使用します。シャッフルし、一番上からカードを引きます。エースが出るか、13枚のカードを引くかのどちらかになるまで1枚ずつめくります。これを3つの山ができるまで繰り返します。最終的にエースが3枚出ていればイエス、1枚か2枚なら可能性あり(もちろん1枚より2枚の方が可能性は高い)。0枚ならノー。9
小アルカナだけ選り分けるのが面倒なら、フルデッキで行い、13枚でなく20枚とアレンジしてもよいかもしれません。
●メアリー・K・グリアのイエス・ノー・スプレッド
これはTAZNも一番よく使う方法です。イエス/ノーを出したあと、別の視点でもカードを読んでいくことができます。
3枚のカードを左から右へ一列に並べ、正位置と逆位置の枚数を数えます。中央のカードは2カウント、他のカードはそれぞれ1カウントとします。例えば正位置・正位置・逆位置なら、正位置3:逆位置1とカウント。正位置が優勢ならイエス、逆位置が優勢ならノーです。均等であれば引き分けで、答えは未定となります。より詳細な情報を得たい場合は、5枚や7枚のカードを使ってもOK。
配られたカードは、左から右に向かう「過去・現在・未来」の時間軸として読むことができます。中央は現在の問題、左側は現在に至る過去の状況や出来事、左側は問題の未来に関連する条件や出来事を示します。また、過去・現在・未来だけでなく「状況・課題・アドバイス」と読んでもいいし、リーディング前に各ポジションへ特定の意味を指定しても構いません。例えば各カードは選択肢、人物、状況の側面などを表すことができます。10
バーバラ・ムーアはこの方法のバリエーションとして、引き分けの可能性を排除する方法を提案しています。11すべてのカードを1カウントとします。
すべてのカードが逆位置:間違いなくノー
2枚のカードが逆位置:おそらくノー
2枚のカードが正位置:たぶんイエス
すべてのカードが正位置:間違いなくイエス
(グリアの方法のルーツと思われるものに、C.C.ザインのイエス・オア・ノー?スプレッド12があります。ザインの場合は5枚、7枚、9枚のいずれかで行います。またカードを並べる順序が逆転し、左から右ではなく、右から左にカードを並べます。時間軸も反転し、右が過去、左が未来です)
●ミネッタのイエス・ノー:望みはあるか
願い事が叶うかどうかを知るための方法です。まずシグニフィケイターを選び、テーブルに置きます。シャッフルしながら願いを込め、5枚のカードを引きます。シグニフィケイターの上方に1枚目を伏せて置き、2枚目を下方、3枚目を右、4枚目を左、5枚めをシグニフィケイターに重ねて置きます。5枚のうちの1枚がカップの9の場合、望みを手に入れます。しかしペンタクルの9が出たら叶いません。これは3回まで行うことができ、1回目でカップの9が出たら、より幸運に恵まれることを意味します。13
これはなかなか「イエス」になる難易度は高そうです。トランプの一人遊びに近いかもしれません。
●トリッシュ・マクレガー&フィリス・ヴェガのイエス/ノー・スプレッド
大アルカナ、カップの9、エース4枚のみを使用します。シャッフルして1枚を引き、出たカードによって判定します。
イエス:愚者、魔術師、女帝、皇帝、戦車、正義、星、太陽、世界、カップの9
どっちでもいい:女教皇、運命の輪、恋人たち、教皇、月、審判
ノー:力、塔、節制、隠者、吊るされた男、死、悪魔
エースはタイミングを示します。著者はタイミングについて詳しい解説をしていないのですが、以下の対応も記してあるため、これに合わせて読むことにしてもよさそうです。
ワンド:春
カップ:夏
ペンタクル:秋
ソード:冬14
カップの9の存在がおもしろいですね。さっきのミネッタの方法でもカップ9が重視されていましたし、さすが「願いが叶う」ウィッシュカードと呼ばれるだけのことはあります。この技法はこのままだとちょっと使いにくそうですが、どのカードがイエスでどのカードがノーかをはっきり決めておいたり、時期を決める方法は、自分なりにアレンジして使ってもよさそうです。
●イリス・ボレルのイエス/ノー・オラクル
これは手順が複雑ですが、その分ドラマチックでミステリアスな雰囲気が演出できる方法です。
問題や質問を、イエスかノーかで答えられるように紙に書く。
デッキから「運命の輪」を取り出し、自分の前に表向きにして置く。
問題を念じながら残りのカードをシャッフルし、裏向きにして扇状に広げる。左手でランダムに7枚引き、「運命の輪」の上方に裏向きに置く。残りのデッキは脇に置いておく。
「運命の輪」も7枚と同様裏向きにする。この8枚のカードを「運命の輪」がどこにあるかわからなくなるまでシャッフル。
4つのポジションに、各2枚ずつになるよう裏向きにカードを置く。
カードを表にし、「運命の輪」を探す。どのポジションに出たかが答え。
・1番目のポジション(カード1か5)なら「イエス」。問題の早期解決と好転。
・2番目のポジション(カード2か6)なら「もうすぐ」。自分の要求を過度に押し付けるべきではないという意味。
・3番目のポジション(カード3か7)なら「遅延」。いくつかの障害を乗り越えなければならないという示唆。・4番目のポジション(カード4か8)なら「ノー」。現時点の状況が解決を妨げており、調整が必要。
答えが「遅延」か「ノー」なら、レイアウトのすべてのカードを見る(逆位置に意味はない)。
・ペンタクルが多い:経済的な問題を示す。
・ソードが多い:対立を示す。
・ワンドが多い:旅や変化を暗示。
・カップが多い:幸運な状況、最終的にはハッピーエンド。特にカップエースがある場合はなおさら。
・大アルカナが多い:自分ではどうしようもない状況、運命が働いていることを示す。
・コートカードが多い:他人の希望が結果を左右する。15
●スーシン・ブレア・ハントのイエス/ノー・スプレッド
5枚のカードを左から右へ一列に並べます。逆位置は考慮せず、奇数カードと偶数カードをカウントします。ただし、大アルカナはすべて偶数としてカウント。コートカードはすべて奇数。小アルカナの数字カードはその数字通りです(2、4、6、8、10が偶数、1、3、5、7、9が奇数)。すべて偶数のカードなら明確なイエス、すべて奇数のカードならノー。偶数がやや優勢なら「もし〜ならイエス」あるいは「イエス、しかし〜」。奇数はその反対です。偶数または奇数のカードが多いほど、相対的にイエスまたはノーが強くなります。
そして続けて5枚のカードを好きなようにリーディングします。物語の展開として読むこともできるでしょう。16
確率的には、ややイエスの方が優勢に出やすいものの、大アルカナがすべて肯定的な後押しをしてくれるのは力強く、コートカードは「ノーの理由」をそのキャラクターなりの言葉で語りかけてくれ、最近のTAZNのお気に入りです。
※今回の調査のために情報提供してくれたうささん(シビラカード)、まゆさん(正位置/逆位置)、どうもありがとうございました!
他にもまだまだいろんな技法がありそうです。もしなにかここにないやり方を知っていたら教えてくださいね!
最近の活動
●「幸せになりたいけどめんどくさいスプレッド」をリリースしました。
すごい勢いでみなさんがやってくださったので、みんな幸せになりたいけどめんどくさいのね・・・と思いました。
●5/30月は新月です。新月の問い満月の答えのワークをどうぞ。
上弦、下弦の月にも途中経過として引いてくださっている方もいるようです!
●6/6月は二十四節気「芒種」です。二十四節気の魔法の水のワークをどうぞ。
このワークのアレンジ方法をいくつか教えていただきました!
どちらのワークも、みなさん自分の使いやすいようにアレンジしてみてくださいね。
●6/1水19:30よりメアリー・K・グリーア「タロットワークブック」zoom読書会です。タロットサークル内の活動ですが、メンバー外の方で参加希望の方はお知らせください。本がない、英語版しか持っていない、途中参加の方もどうぞ。
絶版本ですが、この本の復刊のリクエストはこちらからできます。
●6月に「2022年下半期の運勢」をリリース予定です。お楽しみに!
●ご質問、ご感想、ご要望などはこのメールへの返信、あるいはtwitterのリプライなどでどうぞ。
今週のゾンビタロットチャレンジ
5/30〜6/5のあなたの運勢は?
今回引いたカードは「ソードのペイジ」。人影をこっそり覗き込む。キーワードは「物影少年」。
このカードから作られたスプレッドで、あなたの一週間を占おう!
それではみなさまよい一週間を!
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Barbara Moore, Tarot Spreads: Layouts & Techniques to Empower Your Readings
Mary K. Greer, The Complete Book of TAROT REVERSALS
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同上
La Magica Sibilla deck 解説書より
Barbara Moore, Tarot Spreads: Layouts & Techniques to Empower Your Readings(Theresa Reedより教わった古典的方法として)。栄チャンドラー/著、アレクサンドリア木星王/監修「タロット教科書 第2巻/世界のタロット占法」でも同様のスプレッドが紹介されており、「ドーター・オブ・ムーン・タロット」の入門書を出典元としている。
Mary K. Greer, The Complete Book of TAROT REVERSALS、「タロットワークブック」
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マーカス・カッツ、タリ・グッドウィン「シークレット・オブ・ザ・タロット 世界で最も有名なタロットの謎と真実」(Minetta, What the Cards Tellよりの引用)
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Barbara Moore Tarot Spreads: Layouts & Techniques to Empower Your Readings(Irys Vorel in an article entitled "How the Gypsies Use the Tarot" from the February 1955 issue of Fate Magazineよりの引用)
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